今月の言葉 > 「標語解説書」から > ○平成20年版24日

自分だけが忙しいと思っていると
他人の働きに気付けなくなる

 役所に行くと、次々に人が来てひっきりなしに申請や交付に対応している係と、ほとんど人が来ない係とがあります。
 一見しただけでは内実まで分かりませんが、人が来ない窓口は楽そうに見えます。
 忙しい係の人は何とも思わないのだろうか。いやきっと、なぜこんなに忙しい思いをしなければならないかと思っているに違いない、と失礼な推測をしていました。
 そんな不満を思っていたら仕事にならないばかりか、失敗はするし、無心に働いているときよりずっと疲労感が大きくなると分かったのは、特別な役割を任されて一人で膨大な業務を遂行することになった時でした。
 あちらからもこちらからも連絡が入り、まとめたばかりの資料を何度も訂正し、それをまた必要な部


署に伝える。気を抜いたら訂正を忘れ伝達を忘れ、それがすぐ全体の動きを停滞させてしまう。連絡だけや指示を待つ立場の人はいいなぁと何度も思いました。
「あれもこれもやらなければいけない」という思いで大きな負担を感じるようになったとき、ミスをしてしまいました。
 自分一人で働いているつもりか!
 叱責されて落ち着きを取り戻しました。忙しいのは事実でしたが、それ以上に「忙しくて大変」という思いをしていました。
 その過剰な思いが気付くべき事に気付けなかった原因に違いありません。
 冷静に振り返れば、そんな自分を周りの人たちが支えてくれていたし、周りの人もみんなのために懸命に働いていたのです。
 普通なら当然気付けることに気付かなかった自分を振り返って、不平不満というものは、こんなに目を曇らせるものなのかと、おそろしくなりました。





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