今月の言葉 > 「標語解説書」から > 平成19年版14日

 人への批判を自分に向ければ大差
 ない自分の実態が見えてくる

 他人の欠点や短所はよく見えるものですが、これが自分自身のこととなると、全く分からなかったりなかなか気付けずにいて、平気で他人に不快な思いをさせていることがよくあります。
 これは、自分の欠点は自分自身が認めたくないという気持ちがありますから、欠点を言い訳して少しでも自分を良く見せようとする自尊心が、自分の実態を見えなくするからなのです。
 世の中に完全無欠の人はありません、人それぞれに欠点を持っているものです。
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「五十歩百歩」という言葉があります。
 孟子は、戦場で恐れて五十歩逃げた兵士が、百歩逃げた兵士を「お前は臆病だ」と笑ったとしたらどうなりますか、と王様に尋ねました。「それはいかん。逃げたことに変わりはない」と王は答えました



 孟子は「王様も同じような過ちをしておられます」と国を治める姿勢を正し、仁をもって治世に当たる要諦を説きました。
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 私たちは人の短所を責め、欠点を嫌って、自分は相手より立派だと思うような錯覚に陥ることがありますが、自分の日常にじっくり目を向ければ、自分にも同じような欠点があることが分かります。
 相手が我がままだとか意地悪と思えるときは、自分もそれによく似た心や、相手と対立する心で生きているものです。
 欠点のある人にも、自分にない良い面があるはずです。そのことが分かって、他人の「欠点」を自分を磨く材料にし、他人の特徴をあるがままに認めて、手を携えて生きられるようになりたいものです。




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