今月の言葉 > 「標語解説書」から > 平成18年版12日

 子育ての苦労の多い時は親子の
 絆が太い幸せな時期でもある

 毎日子育ての苦労を通して「お母さんもこうして私を育ててくださったのだなぁ」と、自分に注がれた愛の深さに初めて気が付く。「子を持って知る親の恩」ということわざは、だれもが納得する言葉だと思います。
 ある時、やんちゃな男の子を三人連れた若いお母さんが訪ねてきました。子供たちはお話をしているお母さんに何かと話しかけたりいたずらしたり、じっとしていません。
「そのうちに、そんなにしがみついてくれなくなるよ」と言うと、「それが分かっていますので、今のうちにしっかりと抱いてやっているのです」と言われました。
 横から見ていて「さぞ大変だろうなぁ」と、苦労を察して声をかけたつもりだったのですが、この若いお母さんは、子育ての苦労を、今だけしか味わえ


ない充実感だと思っておられるのか、少しも苦にしていない様子の明るい返事にホッとしたものです。
 子育ての期間で特に手がかかる時期は数年に過ぎません。そして、懸命に子供の世話をしている間に体格も、もの言いも一日一日と成長していき、日に日にしっかりしていって、つい先日までやっていた世話が、次々と手をかけなくてもよくなっていきます。
 神様はよくしたもので、人間に苦労だけを与えられることはありません。まず言えることは、子供がいるということはそれこそが素晴らしい喜びだということです。
 親と子が共に暮らす時期は、たいがいは子供が独立するまでの間で、それから後は親の手元から離れていきます。その期間の内「子供に手がかかる」のは何年あるでしょう。
 子育ての苦労は親ならだれでも経験することですが、子育てをしているときは苦労が多いだけでなく、親子の絆がしっかり結ばれている幸せなときでも


ある、ということに目を向けたいと思います。
 少しも親の思い通りにしてくれず、手を取られるばかりの赤ん坊ですが、これは新米の親たちに愛情にあふれた「親心」を磨き出すために、神様が与えてくださった仕組みなのです。そして、子育ての苦労の中にある幸せは、今しか味わえないものなのです。




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