今月の言葉 > 「標語解説書」から > 平成18年版17日

 自分が正しいと思う時ほど
 相手の意見を尊重して聞こう

「口は一つで耳は二つ、言うことの倍は話を聞け」という警句がありますが、自分が正しいと思っている時は、耳がゼロになっていないでしょうか。
 自分の考えに自信がないときは、意識しなくても人の話に耳を傾けますが、自分が正しいと思うときは、意識して「聞こう」としなければ、耳の穴が広がりません。
 だからこそ、この標語にあるように「正しいと思う時ほど」他人の意見を聞こう、という柔軟で積極的な心が必要なのです。
 人の意見をじっくり聞いてみると、自分の考えの欠点が分かるかもしれません。
 案の定相手が間違っていたとしても、その時は相手はどう考えているのか、なぜ彼は間違ってとらえたのか、それはどこに問題があるのかが分かります。


 こうして、相手の考えを通して自分の考えの特徴を知り、自分の考えの至らないところを補完していけば、周りの人が納得する説明ができるようになるでしょう。
 しかし、自分の考えが正しいと思い込んでしまうと、自分の考え以外は間違いだと決めつけて、反論どころか質問さえも拒絶してしまいたくなります。この拒絶したい気持ちに反応して、相手もますます対立していくことになったら…。
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 一つ肝に銘じておきたいことは、正しいことは一つとは限らないということです。この世の中は○か×の二者択一の世界ではありません。色々な見方や、仕方や、考え方があって、それがそれぞれ正しいということがよくあるのです。
 時代と共に正しさが変遷したり、場所や状況によって変わることもあります。自分の考えに確信を持つのはよいとして、それだけが正しいという狭い考え方こそ間違いである、と言えるかもしれません。


 反対の意見に耳を傾けることは、自分の考えと心の幅を広げ、人間として成長する大切な機会であると知っておきましょう。「自分が正しいと思うことは絶対正しい」という傲慢な思い込みそのものが間違いなのです。




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