今月の言葉 > 「標語解説書」から > 平成18年版23日

 親や先祖を尊ぶ家庭に思いやり
 のある子供が育っていく

 思いやりとは何でしょう。一言で言えば、相手の気持ちになり、相手の立場に立ってものを考えるということではないでしょうか。
 私たちが周りの人に思いやりの心を持つのは、相手と自分とはお互いに人間同士であるというつながりを感じるからです。
 人間は何もないところから突然現れてきたものではありません。人がこの世に現れたのは、親の子として生まれてきたのであり、親もまたその親の生命の延長として生まれ…、人は皆、先祖代々から続いてきた生命のつながりの中にあるのです。
 そして、親は子供を慈しんで、世の中に出た時に社会に貢献し社会の一員として周りと融和して幸せを得られるよう、世の中にきちんと通用するように、しつけることはしつけ、教えることは教え育て、子供は親の愛情を受けて親を慕って成長していきま


す。
 親が自分の命の延長である子供を慈しみ、子供が自分の命の元である親を大切に思い、有り難いと感謝するのは人間の自然な感情で、これが親子の思いやりではないでしょうか。
 この慈愛の心を広げて、周りの人に及ぼしていく思いやりの深い人柄は、先祖を尊び親を大切に思う家庭から生まれてきます。「家貧しくして孝子出づ」と言いますが、親子の関係が冷たくなっている家庭から思いやりのある人柄は育ってこないでしょう。
 現代の親たちは、ややもすると子供の教育というと学力ばかりを尊重して、学校で良い成績を取ってくるように、勉強、勉強と知育にこだわっているのではないでしょうか。しかし、人間の教育として本当に大切なのは思いやりの深い人柄に育てることです。
 世に名を成した人の多くは、学業成績が良かっただけの人ではありません。周囲の人たちのことを思いやる深い思慮と、広い視野をもって世の中に尽く


した人です。
 子供をこのような思いやりの心を持った人に育てていこうとするなら、まず自分が親を大切にし、先祖を尊び感謝し、家族や周囲の人を思いやる心を大切にしていくことです。
 その篤い心と、生き方を、子供はしっかり見て育っていくのです。




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