今月の言葉 > 「標語解説書」から > 平成18年版28日

 約束を軽くする人ほど約束を
 簡単に破りやすい

 前後の考えもなく軽々しく引き受けることを 「安請け合い」と言いますが、前後の考えもないからこそ、請け合ったことを忘れたり、ほったらかしにしたりするのでしょう。
 当てにしていたのに「忘れていた」などと言われたらがっかりしてしまいますが、そんなときは人を見る目がなかった自分の不明を恥じるしかありません。
 少しでも相手の立場や今の状態を考えたら、約束を忘れるなんてできることではありませんが、約束を忘れるような人は、相手の身になって約束をしているのではなく、その時の気分でしているのですから、忘れたりほったらかしにしたらどうなるかなどと、多分真剣には思ったことはないのでしょう。
 しかし「人は鏡である」と言われるように、そんな軽率な人に巡り会ったのは、自分を映す鏡に出会


ったということかもしれません。
 自分自身は約束を破ったことはないにしても、何か自分の心を映しているのではないでしょうか。
 たとえば、人と交わした約束は守っているとしても、これをやると自分で決めたことを、周りの状況を見ている間に気分が変わって、止めたりしていないでしょうか。
 自分で決めた事を途中で止めるのも、自分自身と交わした約束を破ったということになります。約束は人と交わすものですが、その事を心にしっかり入れてきちんと果たすというのが「約束」ですから、自分だけのことだからと途中で放り出すのも、約束を破ったことになるのです。
 また、人のために尽くすのは、世の中に生きていっぱい人の世話になっている者として当たり前のことではありますが、実際には簡単にできることではありません。それを人のためだからと簡単に約束するのは、自分の現実をきちんと把握していないということです。
 約束を簡単に破るのは、気分的にそうなってしま


うということと、厳しい現実を前にして転進を余儀なくさせられているのかもしれません。約束を破られてがっかりしたときは、そういう人間の弱さについて、自分のこととして考えてみたいものです。




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