今月の言葉 > 「標語解説書」から > 平成16年版 4日

喜んで努力してこそ自分を高め
 る新たな知恵が得られる


 「努力」には「汗水流して」とか「苦労を厭わず」という言葉が修飾語としてつくのが普通で、この言葉から伝わってくるのは自主的で積極的な姿勢です。だから「いやいや努力する」とか「努力させられる」といった、受け身で消極的な言葉をつけて使われることはないと思います。
 だからわざわざ「喜んで努力して」なんて言わなくてもいいのですが、ことさら「喜んで」とこの標語で言っているのは、努力することにはやっぱり苦労が伴うからです。
 ここでくじけたり失敗したりしたらみんなに迷惑がかかるという状況は、プレッシャーのかかるシーンですが、こんな時には結果の成否や自分の体面を考えないで、今置かれている状況の中で最善を尽くす、という気持ちで努力したいものです。


 メジャーリーグに移籍し本拠地デビューした松井秀喜選手は、ある試合でヒットが出ませんでした。一本出ていれば勝ち越していたのに、前の打者が敬遠されてフルベースという状況で打てず、九回の裏にも同じ状況になりました。このままでは球場を出られない、という時に彼が取ったのはチームバッティングでした。
 彼が積んできた技術が、いざという時にさよならヒットという形に結実したのは、追い込まれた状況でも自分を失わない、日ごろの努力の仕方にあったのではないでしょうか。第一号となった満塁ホームランも、外野フライでいいと見定めて思い切り打った、チームバッティングでした。
 現状を打破しようと努める、何とか成し遂げようと頑張る、そんな時に生きてくるのは、努力の仕方、つまり心の置き方にあります。
 努力が辛く、苦しくないわけがありません。苦しく辛い努力を、自分にとらわれない広い視野から状況や先行きを見て行うから、耐えられるのです。
 自分の働きが必要とされていると信じて、周りの


ため世の中のために役立てるよう願って、苦しい努力に耐えた蓄積が、事に当たって花開く。自分を伸ばしてくれるのは、自主的に積極的にした努力しかありません。




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