今月の言葉 > 「標語解説書」から > 平成16年版 5日

自分の仕事に誇りを持てば
 仕事の苦労は喜びとなる


 人が仕事をするのは、習い覚え磨いてきた能力を、周りの人や世の中のためにという目的をもって発揮し、世のため人のために役立たせていくためです。
 どのような仕事も人間としての尊い働きをしていることに変わりはないのですが、世の中には仕事そのものに優劣や貴賎があるかのように錯覚している向きもあるようです。
 他のために尽くしている大切な仕事とは、社会的に評価の高い仕事とか収入の多い仕事だけを指すのではありません。そもそも他のために尽くす仕事に優劣はないのです。
もし優劣があるとするなら、それは「仕事」そのものではなく、それに取り組む心の姿勢の方にある、と言うべきでしょう。


 どのような仕事であっても、それに意義を見出して誇りを持って積極的に取り組んでいくべきではありますが、しかし現実には、仕事を続けていくことに疑問を感じさせられるような、様々な苦労や障害が起きてくることがあるものです。
 そんなとき「こんな仕事はやめたい」と思うこともありますが、苦労や困難があっても仕事を投げ出さないで頑張るのは、家族のため生活のため仕方がない、という理由からだけでしょうか。
 仕事に付きものの苦労や困難があっても、それに耐えて続けていこうとするのは、この仕事は世の中に役立っている、自分はそのために働いている、という自覚と誇りがあるからでしょう。これが困難や苦労を乗り越えて、自らの職務を貫き通そうとする原動力になっている場合の方が多いと思います。
 何のためにこの仕事をしているのか、だれのため何のために役立てようとしているのか、という目的観と誇りは、苦労や困難を乗り越えた体験を積んだ人ほど大きく強いようです。
 たとえ命じられたり、やらされている仕事であっ


ても、これは自分の仕事である、と誇りを持ってやり、自分の仕事はこのように役立っていると自覚を深めていけば、仕事の苦労は喜びとなっていくことでしょう。
 この時に感じる充実感こそ、人間として本当の幸福ではないでしょうか。




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