今月の言葉 > 「標語解説書」から > 平成16年版21日

平凡な毎日の中に変わりない
 大きな恵みが潜んでいる


 うっかり忘れ物をするところを思い出したり、乗れそうもない電車に乗れたりと、運が良かったと思わずホッとすることがあります。
 こんなときは、何か自分の思慮を越えた力が働いて、うまくいくように守ってくれているのではないか、と思わず手を合わせたくなるものです。私たちはふだんは自分の努力や経験だけで、思うような結果が得られるように思って暮らしていますが、実はそうではないのではないでしょうか。
 これは病気になってはじめて、ふだんは気にもしていない健康であることの有り難さを思うことと似ているかもしれません。
 何気なく過ごしている毎日の生活ですが、自分を取り巻く何一つが欠けてもこのようには成り立たない、というのが本当のところで、普通に過ごせてい


ることは、普通とは言っていられない、世の中の仕組みや多くの人の働きによって成り立っているのです。
 変わり映えのしない平凡な毎日は、幾つもの偶然や、人々の営々とした創意や努力や、周りのためを思う厚い心によって成り立っていますが、これらが少しでもバランスを崩したり機能を低下させると、成り立たなくなります。平凡な毎日と見えていますが、本当は恵みに満ちた尊い一日なのです。
 人間が生きていくためには、太陽や大地や水や空気が無くてはなりません。これらが毎日変わりなく地上に生きる私たちすべてに与えられていることを、私たちはどれほど知っているでしょう。
 大自然の働きのようにあるのが当たり前と思っていることを、恵みと感じられる豊かな感性を、私たちは心に持っています。
 その心を大いに働かせて自分の周りにあるものを見てみれば、隣人も会社の人も、仕事や社会人としての責務も、好きなことも嫌いなことも、違って見えてくるはずです。


 こうして自分の思いを基本に置いてものを見る姿勢から、世の中の一人として、この世と自分を成り立たせている大きな仕組みに生かされている、という視点に転換できたら、素直な謙虚な人柄を養って周りと和して暮らしていくことになります。




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