今月の言葉 > 「標語解説書」から > 平成15年版16日

明るく元気な挨拶には相手も
 自分も朗らかにする力がある


 外食産業のお店では、どの店員もお客に同じ言葉をかけますが、同じように掛けられた言葉でも、うるさく感じたり、機械的に聞こえることがあります。

「いらっしゃいませ」という接客の挨拶(あいさつ)は、「よく来ていただきました」と、出会いを喜ぶ気持ちと、お客様のご希望にそうよう努めます、という気持ちを伝えるものだと思うのですが、言葉通りの気持ちで話さなければ、白々しい響きとなってしまうようです。

 明るく元気な挨拶をするには、やはり明るい元気な心でいることが何より大切と思うのですが、そうそういつも元気で明るく過ごしていられるものでは


ありません。

 心配事に心をふさがれている日もあるし、不満に囚われて知らず知らず暗い気持ちになっていることもあるでしょう。また自己嫌悪に陥って人の顔を見たくないことも時にはあるものです。

 でも毎朝している「おはようございます」という挨拶は、お互いが「早い時間から元気にお励みですね」と、相手の健康と勤勉を言祝(ことほ)ぐ気持ちを伝えるものです。だからこの声を掛けるときは、自分も相手を心から祝福する明るい気持ちになれるのです。

「こんにちは」という日常の挨拶も、今日は良い天候に恵まれて結構なことですとか、あなたのお仕事もよく捗ることでしょうという気持ちを伝える言葉です。

 お互いにこの言葉を掛け合うことによって、それ


ぞれに恵まれていることを確認しあって感謝を深め、お互いの士気を高めることができる言葉だと言えるでしょう。

 こんなに大切な意味を持った言葉ですから、挨拶されたら同じように相手を思い、自分に恵まれているものを思い起こして、背筋をしゃんと伸ばして、明るい笑顔で挨拶を返したいものです。
「こんばんは」には、いかがお過ごしですか、こんな時間まで一日元気に過ごせてよかったですねという「ねぎらい」を込めたらいいのでしょうか。

 いずれにしても挨拶は自分の思いに閉じこもっていたのではちゃんとできるものではありません。

 人として世の中に生きる限り挨拶は切り離せません。そして、人と交わるということは、周りの人と共に明るく元気な心になっていくということだと思うのです。明るく元気な挨拶は、そういう大事な役割を果たさせてくれるのです。




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