今月の言葉 > 「標語解説書」から > 平成15年版20日
理想は現実に立って考えよう
現実を離れたら空想に終わる
人はしばしば理想を追い求めるあまりに、自分の現実のすがたを考えないで、自分の実力や今の立場とはかけ離れた「理想」にとらわれてしまうことがよくあります。
これは自分というものを知らないということであって、自分を見る目がしっかりしていないと、理想を思い描いているつもりではあっても、結局は空想とか夢想ということで終わってしまうことになります。
理想を持つということは、それを実現していくためには自分の全てを懸けるほどの意欲がなければならないということです。
そのためには、まず自分という人間は、現在どれほどの能力を持ち、どのような性格であるのかを考え、自分の長所や欠点についてもありのままに知って、自分が今生きている現実を土台にして、そこから将来の達成すべき理想を考えなければなりません。
私たちは将来のことに心を向けるとき、目の前のことは深く考えなかったり、現実を甘く見ている場合が多いものです。
自分が今日までどのような生活をしてきたか、現在の自分はどのような人間であるかなど、自分の現実に対する自覚がなかったり、不十分なままで考えている「理想」というものは、出発点があやふやなまま行き先を決めようとしているようなものです。
理想を実現するのも、そこに到達するのも自分自身であって、長い距離を歩き通す体力や気力がない
ことを自覚しないまま出発しても、途中で気持ちが続かなくなるだけです。
目的が大きければ大きいほどその実現にはそれに見合った強い意欲が必要ですが、現実離れした理想を追っているような時は、現実にあきあきして夢ばかり追いかけているようなことになっているものです。
理想と空想について辞典にこうあります。理想=意志と努力との究極の目標として観念的に構成されたもの。空想=現実にはあり得るはずのないことを色々と思いめぐらすこと。
現実を離れた理想は空想であって、自分の現実をよく知ってこそ意欲と努力が伴ってきます。いくら高くてもよい、今の自分をしっかり知った上で理想を立てていきましょう。