今月の言葉 > 「標語解説書」から > 平成14年版 1日
先のことをあれこれ悩むより
今やれることに全力を尽くそう
人は常に色々なことを考えたり思ったりしています。日常さまざまな思いが起きては消え、消えては起こるものです。
空想や夢を思い描いているときは楽しい気分を味わえますが、現実の問題、差し迫った課題について考えるときは、そんな楽しい思いを味わっているわけにはいきません。身近なことになればなるほど、あれこれと迷って考えがまとまりにくくなる、というのが大方のパターンではないでしょうか。
そして、迷い悩んでやっと答を出したのに、ああすれば良かったとか、こうすれば良かったとか、悔いが残ってしまうというのも、人の世の常のように思います。
迷い悩むということは極めて人間的なことで、むしろ人や物事の上を色々と考えたり、みんなに善かれと思う気持ちなど、豊かな人間性を持っているからこそ迷ったり悩んだりするのだと思います。
だからといって、迷うことや悩むことが多いのは、決してよいことではありません。
迷いとは、右か左か決められず、はっきり心を決めて物事に取り組めないということで、周りの人に迷惑をかけるばかりか、所期の成果も上げられないことになります。
今はどうにもならないことや、過ぎた事にこだわって悩んでいると、現実の問題に取り組む姿勢が疎かになっていきます。苦手な事や気の重い事は、つい先へ延ばしてしまいたくなるものですが、これは貴重な時間を無駄に過ごすことにしかなりません。
人は今日を如何に生きるかが大事です。大切な今日を無駄に過ごしてはなりません。
そこで、思い悩むという豊かな人間性の上に、どんなことにも一歩踏み出す勇気と、できることから始めるという積極性を持つことが、極めて大事なことになってきます。
自分を高めていくには、その時その場の事に全力を傾注することです。そして、全力を尽くすことによって得られる喜びや感動は、新たな視点から物事を見る目をもたらします。
今の目の前のことに全力を尽くしてこそ、先のことをどう考えるかについての、新たな知恵が備わってくるのです。