今月の言葉 > 「標語解説書」から > 平成14年版 3日

自分を実質以上に思っている
 から批判を恐れるのである

 対外緊張政策という外交策があるのだそうです。これは国内の経済が不振に陥るなどして国民の不満がつのって内政が混乱し、反対勢力の突き上げで政権の基盤が弱くなってくると、国民の不満を外に向けるため、外国との間にある問題をことさらに取り上げたり、外国から不当な対応をされているかのように喧伝するという、問題をすり替えて政権の延命を図るいやな政策です。

 これに似たようなことを個人でもやることがないでしょうか。個人の場合は別の人との間に緊張関係をつくるわけにはいきませんので、自分の立場が悪くならないように問題をすり替えたり、自分のプライドに傷が付かないよう言い訳をしたり、ともかく批判をかわすことにやっきになります。


 しかし、批判されているのは、自分の言動に現実に合わないところがあって、周囲に悪影響を及ぼしたり迷惑をかけたりしているからで、自分は気が付いていないか、認めたくないと思っている不都合なところを指摘されているのです。

 「そんなことは百も分かっている」と言いたい気持ちでしょうが、批判を嫌がったり恐れたりしていては、批判者が指摘している本当のところを理解し、しっかり対応することに支障を来してしまいます。

 人間だれしも欠点があり、失敗することもあります。失敗を認めたら立場を失ってしまうというような場合でも、言い訳をしていつまでも醜態を曝したり、周りに迷惑をかけ続けるよりは、素直に認めた方が周りからの信用を損なわないですむことは、世の中の数々の実例が証明しています。

 自分を実質以上に思うということは、立場におぼ


れて自分を見失っているということであり、その慢心ゆえに批判を受け入れる冷静な判断力を失っているのだと思います。

 立場にふさわしい実行力を養っていけば、その積極的な姿勢から批判を喜んで受け入れる包容力を備え、判断力が磨かれてさらに力を伸ばしていくことになるでしょう。しかし、批判を恐れていては
、自分を磨くことも周りと協調することもできなくなってしまいます。




〒545-0043 大阪市阿倍野区松虫通1丁目2-27
サイトマップ
Copyright ©shizensha All Rights Reserved. 無断転載禁止