今月の言葉 > 「標語解説書」から > 平成14年版 6日
自分を理解してほしいときは
まず相手の理解に努めよう
私たちはさまざまな願望を持っていますが、中でも自分の思いを分かってほしい、自分の考えを理解してほしいという願望は、幸福に直接結びつく大きな要素なので、この願いには切実なものがあるのではないでしょうか。
ところが現実には、自分の思いを聞いてくれたり、受け入れてくれる人や、自分のことを本当に理解し、認めてくれる人は少ないと思っている人が多いようです。
実際「周囲の人たちは私の言うことはなかなか聞いてくれないのに、○○さんの言うことは何でも聞いているのはなぜだろう」という疑問を持っている人は、案外多いのではないでしょうか。
○○さんの言うことを周りの人がよく聞き入れるのは、○○さんは日ごろから協調的、融和的で、○○さん自身が周りの人の言うことを喜んで受け入れているのだと思います。そこで周囲の人たちも知らず知らずのうちに「○○さんの言うことなら聞いてあげよう」という気持ちになっているのでしょう。
しかし、なかなか言うことを聞いてもらえないという人は、協調的な気持ちが乏しく、人の意見をすぐ批判したり、対立したりする、孤立的な性格である場合が多いと思います。
自分という人間を理解してもらうには、相手の言うことを白紙になって聞き、相手の考えや、相手の立場を理解しようと努めていくことです。そうすれば、相手もまたこちらの考えや立場を理解しようと努力するでしょう。
周りの人の態度は、他ならぬ自分の中身を映す鏡
なのです。
人を認め、受け入れ、人の言うことを聞こうとする広く大きな心の人は、人に信用され、人から立てられ、味方が多くなります。しかし、自分の考えに固執し、人の言うことを聞こうとしない人や、人の発言を抑えて言わせないようにする人、人の考えをけなしてばかりいる人は、いつの間にか周囲から敬遠され、孤立していくことになります。
自分の日ごろの行いと、心の中身がそのまま周りの人のうえに現れるのですから、自分を理解してほしいときは、自分の方が周りの人たちを理解しようと努めていくことです。