今月の言葉 > 「標語解説書」から > 平成14年版21日
周りに支えられていることに気付いただけ
感謝の思いは深まる
「感謝」という言葉は、人それぞれの内面の問題であり、なかなか他と比べることは難しいものです。口で「感謝しています」と言うのは易しいことかもしれませんが、実際それがどれほどのものなのかは、その人の生き方から判断していくしかありません。
しかし、感謝の薄い人は、間違いなく「何でも自分の力で出来ている」という傲慢な思いを強く持っているのではないでしょうか。
自分の力でできていると思えば思うほど、周りの人や物を軽く思って粗末にすることになるので、そういう姿を見ると「あの人は人や物の有り難みが分からない人だ」と思ってしまうわけです。
ですから、感謝の気持ちを深めていく一つの指針として「周りに支えられてできているのだ」ということに気付いていくことが大変重要になってくるわけです。
自分の力だけでできていることなど、ほんの僅かなものです。物事がうまくいっているときに、自らの生き方を認め、自信を深めることも大切ですが、それと同時に、意識して周りの人の顔を思い出しましょう。
これはあの人のお陰、あれはこの人のお陰、と思い浮かべるたびに「有り難いな」と思わずにはおられないのが私たちです。お陰は、まさしく「陰に隠れた働き」であることが多いわけですから、天狗にならないで、心静かに振り返る姿勢は非常に大切です。
感謝の思いに限りなどありません。「自分は感謝
している」と思っているときほど、頭打ちになって、新たな支えに気付こうとしないでいることになっているかもしれません。
まず「分かっている」という思いを捨てて、自分と周りとを見直してみましょう。そうすれば、必ず新しい発見があります。そして、今まで気付かなかった働きに気付いた分だけ感謝の思いが深まり、それは自分自身の言動に反映されていきます。
人はだれでも、自分の働きに気付いてくれればとてもうれしくなり、ますますその人のために頑張ろうと思うものです。こうして、感謝と信頼によって、より一層お互いの絆を強めていくことができるのです。