今月の言葉 > 「標語解説書」から > 平成14年版30日

世の中の厳しさのせいにしていては
今すべき努力が疎かになる


 世の中は常に変化し続けています。自分に都合よく運ぶときもあれば、都合の悪い状態になるときもありますが、その舵取りをして、波を乗り越えて進むのが人生です。

 順風の時は帆を広げるだけでぐんぐん前進していきます。調子に乗ってコースを間違えないように心がけてさえいれば、面白いように船は進みます。

 人生でもトントン拍子に物事が運ぶ時期があるものです。そんな時はつい、世渡りは楽なものだと思ったり、自分は優秀だからだとうぬぼれたりしがちです。しかし、一生涯常に順風ということはありません。


 そして順風になれてしまうと、逆風に遭ったとき舵取りがうまくできなくなります。よい結果が出ないと、世の中が厳しいから仕方がない、と思いがちです。

 世の中のせいにするのは簡単です。しかしそれでは、状況を詳しく分析して新しい工夫を生み出すという苦労と楽しみは分かりません。荒波を乗り越えてより一層力を付けた、という達成感や爽快感を味わうこともできません。ただ「世の中のせいだ」の一言で片付けて、得がたい機会を見逃したまま、世の中から取り残されてしまうのです。

 世の中のせいにするのは、大きな誤りです。同じ荒波の中にいながら、しっかり力を付け、着実に前進している人もあるのです。あるいは、再起を期して、着々と準備している人もあるのです。それは、今自分が何をなすべきかを考え、実行しているからです。


 逆風でもヨットは前進できます。神経を集中して風と波を読み、帆を操作すれば、遅々たる歩みではあっても蛇行をしながら風上に向かって進んでいけるのです。もちろん順風の時にはない機敏な判断や操船技術が必要なことは当然です。

 しかし、悪条件の中でいかに前進するかが、セーリングの醍醐味ではないでしょうか。

 人生の逆風の時、それはまさしく努力の時です。状況の厳しい今こそ、努力によって、自分の隠れていた能力を引き出して、新しい自分を生み出していきましょう。人生がもっと素晴らしくなるはずです。




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