今月の言葉 > 「標語解説書」から > 平成13年版 2日

人からの批判はじっくり味わおう
 成長の糧がそこにある

 成長は若い間だけのことではありません。

 自分の置かれた立場においてよりよく生きて、意義深い生活をし、よりよい影響を周囲に与えていくという生き方は、年齢を問わずだれにも可能です。

 人生の最後まで成長していけるのは人間の特権と言えるでしょう。

 自分が成長していく充実感を、だれもが味わっていけるはずなのですが、成長はたやすくできることではありません。それを阻む目に見えない障害があるからです。

 最も大きな障害は、人間は自分のありのままの姿


を知ることがなかなかできない、というハンデです。

 形の上で考えてみても、取り澄まして鏡に向かった正面の姿だけは見ることができますが、自分の横顔や後ろ姿は容易に見ることはできません。

 まして何かをしている時の動きや表情がどんなふうか、想像もつかないことでしょう。

 仕事をする時に出している自分ならではの習慣や話す時の癖、物事に対する好き嫌いや、短気とか暢気とか、心配性とか楽天的とかいう性格は自分独特のものであるのに、自分では全く気付いていないものがほとんどです。

 自分で思い描いている自分は、まさしく虚像だと言えます。そのため自分の問題点をはっきり把握し、改めていくことを、自分の力だけで行うのは至難の業なのです。



 ところが、周囲の人たちはこの自分の姿を日々そのまま外から見ています。そしてその人なりの評価を下しています。先入観や立場上の違いから、色々な偏りはあるかもしれませんが、少なくとも自分よりも鮮明に、虚像ではなく実像をとらえています。

 成長したいと望むなら、その人たちの評価を聞かない手はありません。特に、問題点をはっきり指摘する厳しい批判を受けたとしたら、それは自分の実像を知る絶好のチャンスなのです。つまらないプライドから虚像にしがみついて、折角の機会を自分から捨てていたのでは成長は望めません。

 批判の言葉をよくよく噛みしめて味わえば、それが真実であると悟れます。そして、自分を厳しく見つめている他人がいることが、いかに有り難いか分かってくるはずです。




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