今月の言葉 > 「標語解説書」から > 平成13年版22日
向上心の有る無しで苦労は
成長の糧にも不満の種にもなる
どんな物でもそれをどのように生かすかは本人次第です。色々なものの価値をよく知って、それをうまく使いこなして役立てていくことができれば、暮らしの中身が豊かになり、楽しくなっていきます。
これは物に限ったことではありません。体験という、目に見えないことについても、それを生かすか殺すか、その人次第です。
私たちは、生きていく中で、様々な体験をしています。その中には「苦労」というものがあります。苦手な物事と取り組まざるを得なかったり、恥ずかしい思いをしたり、厳しい中で耐え忍んだり、だれでも幾度もそういう苦労を通らなければなりません
。
しかし、苦労した体験は、とても大きな値打ちを持っています。
苦労を通して能力が高まり、知恵が得られ、精神力が養われます。外見だけではなく内面的なものも培われ、人間的な魅力となって現れてきます。
「若いうちの苦労は買ってでもせよ」という言葉がありますが、金では買うことのできない、素晴らしい宝物が得られるとも言えるでしょう。
しかし残念ながら、苦労したからと言って必ずしもその宝を生かせるとは限りません。
苦労をただ嫌がり、早く逃れたいとばかり思っていたらどうでしょうか。まず自分のしている物事から心が離れてしまいますので、今苦労している物事の実態を究められず、そこから知恵を見いだすことはありません。
そして、自分の境遇に対する不満をつのらせて、苦労を他のせいにしてしまったりします。これでは苦労がマイナスにしか働きません。
苦労を生かすためには、そこから何かを掴みたいという積極性が必要です。自分の未熟さを知り、少しでも向上したいという意欲があれば、苦労こそチャンスと受け止めることができます。
そういう気持ちで奮闘している中で、自分の力が伸びていくのを実感すると、苦労の中に喜びを見いだし、やり甲斐すら感じていけるはずです。
苦労を自分の人生に大きなプラスとしていけるか、マイナスになってしまうかは、向上心のあるなしにかかっているのです。