今月の言葉 > 「標語解説書」から > 平成13年版31日

過去に何をしたかではなく
 今何をするかが重要である

 こし方の華やかなればかへり見て
 嬉しからまし恋しからまし

 華やいだ青春を過ごしてきた人は、その時代を振り返ってみるとき、自分の人生をうれしく思えることだろう。そして、その若さも華やぎも遠く去った今は、帰ってはこない時代を恋しく思えることだろう。与謝野晶子、四十代半ばの短歌です。

 そんなものかな、でも「かえりみる」だけではなく、人は、今は今の人生を生きている。華やかだった過去は記憶の中に留めて、今日の一日を一生懸命生きている、だからこそこんな心の機微をつく歌が出来たのでしょう。

 過去がどんなに華やかであっても、私たちが幸せ


を感じるのは、今日をどう過ごしているか、今どんなことをしているかにかかっています。

 また、過去に世の中や周りの人のためにどんな功績を挙げてきているとしても、今も、物事を喜んでやり、周りに尽くそうという気持ちを心にしっかり持っていなければ、毎日がつまらなくなってしまいます。

 今を精一杯生きよう、今できる事に全力を尽くそうという心でいれば、どんな状況にある人も、自分が今すべき事が明らかになってきます。それはこれと決まったものではなく、ともかくも自分の目の前にあることかも知れません。だれも注目しなかった事であったり、みんなが嫌がる事かも知れません。

 しかし自分の目の前になすべき事が現れてきているということは、自分を生かす場を与えられているということです。事柄の大小より、その物事を通し


て自分を発揮し、自分を生かすことができるかということが、今日を、そして人生を充実させることになるのです。

 今の時間や、今日という一日を充実して生きることが、目の前に現れたことに力を尽くしていけば、できるのです。それを周りのみんなのためにという心でやっていくことで、自分にも、周りの人たちにも、幸せを生み出していけるのです。

 今の目の前のことに力を注ぎ込んで今日の一日を大事に生きることは、だれにでもできます。事の大小や好き嫌いにとらわれないで喜んでやっていきましょう。




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