明日飛躍しようと思うより
今日小さくても一歩を進めよう
一昨年、サッカーの日本チームが初めてワールドカップに出場した時、サポーターの人たちが「翼を下さい」という歌を歌って応援しました。
この歌は、鳥のように空を飛びたいという自由への憧れと、新しい世界に飛躍したいという、切なる願いが表された歌です。サッカーの弱小国だった日本チームに堂々と世界に羽ばたいてほしい、サポーターの熱い思いがその歌声に籠もっていました。
私たちは思い通りにならない現実や、停滞している今の自分に別れを告げて、一気に新しい境遇に向かって飛んでいきたいという、飛躍への夢を持っています。その夢が生きる力ともなっています。
しかし、この「飛躍」という願望には、私たちを迷わせる魔力もあります。「飛躍」することばかり
夢見て、地道に歩くことを煩わしく思っていると、「明日飛ぶぞ、明日は飛躍するぞ」と思っているうちに、ついに努力をせずに時を過ごしてしまう恐れがあるからです。今日唯今の努力が一番大切で、その積み重ねがあってこそ、いつか大きな飛躍の時も迎えられるのです。
日本のサポーターはそのことをよく分かっていたと思います。日本は予選リーグで敗退しましたが、サポーターは節度ある応援と、試合後ゴミを拾い集めることで、我々も選手に劣らないくらい真剣にサッカーに取り組んでいるという姿勢を示しました。これが選手たちを一層本気にさせたことでしょう。このような姿勢は今後の発展の力になるに違いありません。
客席のゴミを拾う行動はサッカーを愛する熱い気持ちを現したもので、自分たちにできることがあれば何でもやるぞ、と「本気」で日本のサッカーを盛り上げている姿でした。