今月の言葉 > 「標語解説書」から > 平成12年版19日
決断の時には何かを捨てる
勇気が必要である
自分の責任で物事を決めていく意志力を持っているところに人間の尊さがあります。自分で善悪を考え、自分の行動を自ら決断し、自分ならではの人生を築いていける、ここから人間の尊さが生まれてきています。
この決断力を十分に生かさないと、周りの状況に流されたり、他の思惑に左右されたり、時には翻弄されるようなことになってしまいます。これでは人間の尊さを発揮しないことになり、人間としての幸福を築けないことになります。
私たちは自分で考え、自分で決めることを鍛錬し、その能力を高めていくことを求められていますが、人生の岐路に立った時や、大きな責任を負った時など、自分の選択が悪い結果をもたらすのではない
かと考え出すと、なかなか決断を下せなくなることがあります。
大事な場面でなくても日常の小さな事でも、右にするか左にするか「決める」という時にはためらってしまうことが多いものです。
私たちが物事を決めかねて、ためらったり、優柔不断に陥ってしまうのは、欲や心配などさまざまな思いに捉われてしまうからです。失敗して名誉を傷付けたり大切なものを失ったりしたくない、選択を間違って困難に出遭うようなことになったら大変だというような、自分を守りたい気持ちが足かせとなって決断を下せなくなってしまうのです。
決断の時に必要なのは「捨てる勇気」です。結果が気になり始めると、不安の思いが膨れあがって、迷いを断ち切ることができなくなります。そのため大事な時機を失ってしまうこともあります。こんな時は「どちらを選ぶか」ということより「自分を守
りたい」という気持ちに陥っています。しかし一つを選び、何かを捨てるという局面に立っている時に、自分を守っている隙はないのです。
先の事は天に任せる、困難には全力で立ち向かう、失敗してもまた立ち上がる、と覚悟を決めて眼前の事態を見据えれば、捨てるべきものは自ずから分かります。明日を拓くために勇気を持って捨てるべきものを捨てましょう。きっぱり捨てれば心がすっきり整って、身軽に行動できるようになるのです。