今月の言葉 > 「標語解説書」から > 平成12年版31日

無理だという思いを捨て去れば
負担の気持ちは軽くなる

 気持ちで負けたらおしまい、という場面を色々なスポーツで見かけます。
 軽量の力士が大関や横綱や巨漢力士に挑戦しているシーンの面白さは、様々な技や動きで相手を翻弄しようとしているスピード感とスリルにあります。それと、まともに行ったら到底敵わない相手を、何とか倒してやろうと闘志をかき立てて対戦している雄々しさに引きつけられるのではないでしょうか。

 小兵力士に「これは敵わない相手だ」という気持ちが少しでもあったら取り組みにならないし、その前に上位に上がってくることもできません。「無理偏に拳骨」という上下関係と、実力差が歴然と出る相撲界で揉まれる間に「無理だ」と思う消極的な気持ちを彼らは克服してきているのではないでしょう


か。

 相撲の世界ほど顕著ではないにしても、私たちもとても敵わないと思える事に出会うことがあります。いくつもの仕事を抱えているときに緊急の仕事を持ち込まれたり、技術もスタッフもないのに新たに開発を命じられたり、未経験な分野に放り込まれてそれなりの結果を期待されたり、無理だと思うなと言う方が無理だと思えることがあるものです。

 しかし、無理だと思うか、思わないかは、自分が置かれた環境や条件によるものではない、ということも真実です。

 結果を出すことを期待されている状況で、「やれるだけやってみよう」という姿勢では、少し無責任な心構えに思えますが、「やらなくてはならない」と萎縮しているより、はるかに良い精神状態です。「やれるだけやってみよう」と平静で積極的な気持ちでいてこそ「どうすればやり遂げられるか」とい


うファイトと工夫が生まれてくるのです。

 自分の非力を素直に認めること。そこから不退転の決意が生まれ、負担感を排し平静な心で事態を受け入れられるのです。
 
 「無理だ」という思いを捨て去る第一歩は、今の自分の非力を素直に認めるところにあります。恐れつつ憂えつつ認めるのではなく、素直にあっさり認めることです。虚勢を張ったり、嫌がったりしていると、「無理だ」と思う負担感を捨てることはできません。




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