今月の言葉 > 「標語解説書」から > 平成11年版31日
できない理由を困難に求めていると
やる気のなさに気付けない
「やる気のなさ」ということは、集中力が低下しているか、または物事をするに当たっての意欲のない状態であり、状況は怠けそのもの姿をしているときのことです。
学校から帰ってきた子供に「宿題は、勉強しなさいよ」というと「はい」といういい返事が返ってきて、教科書を机の上に出して勉強を始めたのはいいのですが、あっちを見たり、こっちを見たり、挙げ句の果てに一点をぼうと見ていました。気分が乗らないのか、一向に勉強が進んでいる様子がないので問いただしてみると、難しい、どうしていいか分からないという返事が返ってきました。
そこでどこが分からないのかと、子供の勉強のお付き合いをすることになったのですが、改めて問題
を読ませてみると、これがそう難しい問題とは思えません。ところが少しヒントを出してやると案外にすらすらと解いていきました。
一体何が難しくて、何が分からなかったのかと思うのですが、子供は、難しい、分からないと言います。
このような時は今ひとつ勉強に乗り気でないことが多いようです。子供にとって勉強は「しなければならないもの」ですから、勉強という言葉に反抗するわけにはいきません。仕方なく机の前に座ってみたものの勉強に身が入らないのは当然のことです。でも、勉強はしたくない、する気になれない、とは言えないのです。
こんなときは問題の解決能力は非常に低下しています。だから全ての問題が難しく見えてしまうのです。
そして、できない理由を「する気がない」というよりも、「難しい」とした方が自分の面子に傷が付かないことになります。
子供は子供なりに自分の身を守ることについて、知らず知らずのうちに知恵を働かしております。大人は大人で自分も子供の時にそのようなことをしてきたなという思いがあるのではないでしょうか。
物事をするに当たって「困難」という断りの口実の中にある自分の姿を知っていきたいと思います。