今月の言葉 > 自然誌 文章から > 平成16年10月号 家庭のできごと

お店の記念日
田村雅和

 Aさんは親娘二人で美容室を経営しておられます。
 娘のBさんは数年前から本宮例大祭の勤労奉仕に参加していますが、店を休むことはできないので二人そろって参加することは難しい状況でした。
 昨年は三日間の勤労奉仕の一日が定休日に当たっていたので「お二人で参加されませんか」と声を掛けました。
 当初は、休みを変更すると客に迷惑をかけるから、とためらっておられましたが、「早くから休みを振り替えることをお客さんに申し上げて、その期間は臨時休業にします」と、参加を申し込まれました。
 二人は喜んで勤労奉仕をしておられました。そして、大祭の後「大祭が多くの方の勤労奉仕で成り立っていることを初めて知りました。これからもなん


とか都合をつけて参加させていただきたいと思います。できれば三日間を店の記念日にして、毎年休みにしようと思っています」と言われました。
 今年の大祭の供奉者の推薦をする時、教堂長は何方にするか一生懸命調べておられましたが、推薦者が決まってその名簿を見るとAさん親娘の名前がありました。
 私はAさんの勤労奉仕の感想を人に話したことはないし、Aさんもあの話を他でされたことはないようです。
 大事なお店を三日間休んででも…、という勤労奉仕の感動と決意がこんな形で実を結んだと思うと、今年の大祭の総指揮を拝命している者として感慨もひとしおで、私も精一杯の誠を尽くさせていただこうと思いました。




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