宅配便の営業所のＡさんは荷物がある日はきまって朝八時ごろ「お早うございます。お荷物です。印鑑を下さい」と荷物を届けてくれます。

「今日は暑いですね」と話しかけると、汗びっしょりで「いや本当に暑いよ」と、ぶっきらぼうだけれど気持ちのいい言葉を返してくれます。

　ある日、近所を歩いていると、少し離れた所から、だれかが私に会釈をしてくれました。見るとトラックで荷物を配達中のＡさんでした。

　その後も何度か道で出会いましたが、朝早くから夜遅くまで、いつ見ても小走りに動き回っています。これは宅配便の会社の人たち全員が、そうするように決められているのかと思いましたが、同じ会社

の人と比べても、Ａさんの姿はとても颯爽としています。

　Ａさんは人が見ていても見ていなくても素早く行動し、きちんと、自然な挨拶をするよう心がけておられるのでしょう。

　その気持ちが、いつもキビキビ動き回って働く喜びを体いっぱいに表現している、Ａさんの姿から伝わってきます。

　Ａさんは荷物と一緒に、働くことの清々しい喜びを届けてくれるのです。