今月の言葉 > 自然誌 巻頭文から > 平成31年04月号

決めつけを外して
   教主 橋本のり子
   


 七年前に観音竹の小さい鉢植えを頂きました。その後枯れたと思い捨てようかと思って見ると、株の中心に小さい緑色の芽があるのを見つけました。そこで時々水をやったり日中は鉢を外に出したりしたところ、少しずつ成長はしていましたが、あまり変わりはありませんでした。それが先日ふと鉢に目をやると、小さく白い花が咲いているのを見つけて大変に驚きました。
 このことを通して、決めつけをなくすということを教えていただきました。私たちはどうしても過去からの経験から、周りの人や事柄に対して「このようになっていくのではないか」と予測して無意識に決めつけをしてしまいますが、私の体験のように、枯れてしまったと思えるような植物に対してあきらめず世話をしてやると、数十年に一度しか咲かない


と言われる花が咲くこともあるのです。
 例えば親であるならば子供に対して、幼い時から見ているのでどうしても決めつけをしてしまい勝ちですが、決めつけは子供の一番伸びる芽を摘んでしまう非常に傲慢な態度なのです。
 たとえどのような現状であっても、決めつけを外していこうと努力して、子供の成長を信じて迷わずに目を掛けていけば、思いもかけぬその子が本来待っている花が必ず咲くのです。




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