親の恩に報いる
教主 橋本のり子
生家の亡き母は晩年に「あなたは親に何も心配かけないで親孝行だ」と言っていましたので、私もいつの間にかそのように思っていましたが、思い返すと幼い頃の私は体が弱く、戦中戦後の大変な時期に命に関わる病を患い、当時は治療法が無いと言われた私を抱え、母はどれほど心配していただろうかと気付きました。
神訓に「親の心はかみの心である」とあるように、親は子供のことで嫌な思いをしたり、苦労したり、心配したことは、慈悲の心で忘れてしまいます。また昔から「父の恩は山より高く母の恩は海より深し」と言われているように、親の恩は簡単には辿(たど)り着けないくらい高く、またいまだ誰も行ったこともない海の底に例えられるくらい深く計り知れないものなのです。そのような親の恩を頂いて現