今月の言葉 > 自然誌 巻頭文から > 平成27年07月号

恵まれていることに気付こう
   教主 橋本のり子
   


 最近あるお年寄りが病気で入院して治療を受けられ、無事回復して退院なさいました。「治って良かったですね」と申し上げると「お陰様で助かりました。しかし治療費に五万円も掛かったのですよ」といささか不満そうに言われました。 
 確かに年金生活で五万円の支出は大変ですが、この方は後期高齢者で治療費は一割負担ですから、本当の治療費は五十万円で、差額の四十五万円は国家が、皆さんが負担してくださったのです。
 これは大変有り難い事ではないでしょうか。もしこれを当たり前と思っていたとしたならば、申し訳ないことだと思います。
 このような国家社会や周囲から受けている恩恵を当たり前と思わずに感謝する思いになって、老齢者でも何かの形で社会に恩返しをしようという気持ち


になることが大切であると思います。
 ある介護支援関係の仕事をしておられる方とお話ししていたとき、福祉や介護の恩恵を受けておられる方の中には感謝の気持ちなどなく、世話を受けるのは当たり前で、もっとやってくれないのは不満だという態度の人もおられるということでした。
 私たちは周囲の労りの制度や行動に気付いて、世の中が自分に何かを与えてくれるのは当たり前と思わず、周囲の恩恵に対して「有り難い」という気持ちを持って日々暮らしたいものです。




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