今月の言葉 > 自然誌 巻頭文から > 平成27年02月号

己には二つの面がある
   教主 橋本のり子
   


 自然社の神訓には「幸福は己を捨つるにあり」と教え示されていますが、「己」には二つの面があります。その一つの面は自分のことしか考えていない己であって「俺が、俺が」という自分中心の思いであり、もう一つの面は自分のことは忘れて世の中のために、周囲の他人のために何とかしてお役に立とうと考えている己です。私たちはこの両方の面を持っていてその両方が入り混じっていて、ある時は自分だけのことしか考えないのですが、また別の時には自分のことは忘れて、世の中のため他人のために何とかしてお役に立とうと考えていることもあります。
 この神訓の「己を捨つるにあり」という教えを聞いて、己を捨てたら自分自身がなくなってしまうという疑問を持つ人がおられるでしょうが、捨てるの


は「自分のことしか考えない己」を捨てるということで、己の全部を捨てるのではありません。
 言い換えると「世のため他人のためにお役に立とうとする己」を育てていくことが、真の幸福に恵まれるのです。そのためには自分だけが得をする私利私欲を捨てるだけでなく「人から悪く思われたくない」という他人の自分に対する評価にこだわりとらわれる思いや、他人を見下すような思い上がった気持ちが心の奥に隠れていることに気付いていくことが大切なのです。




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